経営分析②
おはようございます。中小企業診断士のけんけんです。
昨日は経営分析の効率性、特に有形固定資産回転率、棚卸資産回転率の論点を書きました。本当は売上債権回転率についてもブログで書いていたのですが、朝謝ってブログから削除してしまいました・・・。昨日の朝ブログを読まれた方は内容が重複してしまうかもしれませんが、復習という事で勘弁して下さい。
有形固定資産回転率は売上÷有形固定資産です。分母である有形固定資産を活用して分子の売上への貢献度を表しています。
棚卸資産回転率は売上÷棚卸資産回転率です。分母である棚卸資産(商品)を活用して分子の売上への貢献度を表しています。
有形固定資産回転率、棚卸資産回転率共に分母→分子の関係になります。
しかし、売上債権回転率をこれまでの分母→分子の関係で考えると訳が分からなくなります。売上債権回転率=売上÷売上債権です。分母である売上債権を活用して分子の売上への貢献度を表すといっても、意味が通じません。
売上債権とは売掛金や受取手形になります。売上に対して売上債権が高いという事はどういう状態でしょうか?
売上を計上しているのに、売掛金になっているので現金が手元に入ってきません。
売掛金なら1ヵ月~2か月程度、受取手形なら4ヶ月程度現金が入ってきませんので資金繰りは厳しくなります。
以上から売上債権回転率は分子→分母の関係になります。
分子の売上に対して、分母の売上債権が少ない方が資金繰りは良好な状態になります。
本当はこの論点を昨日のブログで書いたのですが、間違って消してしまいました。
効率性も同業他社比較であれば、D社の効率性指標を良いか悪いか分かりやすいです。
しかし、前年度との対比ではそもそもD社の効率性数値が良いか悪いか分かりません。
こういう場合は①与件文から判断する②対前年度と比べて急激に数値が変動しているか
この2点から判断して下さい。
売上債権回転率や棚卸資産回転率が低くなった場合はどういう影響が出てくるのでしょうか?
売上債権回転率が低いという事は売上債権である売掛金や受取手形が多くある状態です。棚卸資産回転率も商品が売上に貢献していません。
売掛金や受取手形はツケと同じ状態ですので現金が入ってきません。商品も材料を売れなければ現金化されません。
つまり資金繰りが厳しい状態になります。
こうなるとD社は運転資金を借ります。運転資金なので短期運転資金を利用します。
売上債権の増加→短期借入金の増加→現預金増加という流れになります。
売上債権回転率の低下→短期借入金の増加→現預金の低下は流動比率の悪化。
棚卸資産回転率の低下→短期借入金の増加→現預金の低下は当座比率の悪化を示しています。
資金繰りや在庫管理については過去記事でいっぱい書いています。代表的なものを貼っておきますね。
有形固定資産回転率が悪い場合は長期借入金とリンクになる可能性が高いです。
有形固定資産回転率が悪い→負債比率が高い→売上高経常利益率が悪いという流れが多いです。
借入に依存して設備投資を行い、設備が思うように稼働せず売上を稼げない場合はこのパターンです。
経営分析は作問者のメッセージがどこに込められているかがポイントになります。
負債を論点にしたければ支払利息にメッセージを込めてきます。
資金繰りを論点にしたければ当座比率にメッセージを込めます。
だいたいのパターンがありますので、しっかり論点を復習してみて下さい。
効率性を中心に書いてきましたがどうでしょうか?
収益性、安全性はイメージが付きやすいと思いますので大丈夫ですか?
では今日はここまでにします。また明日へ。
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