事例Ⅳ デリバティブについて
おはようございます。中小企業診断士のけんけんです。
今日も引き続き事例Ⅳについてです。
忘れた頃に出題されるかもしれない「デリバティブ」について書きます。
直近では平成26年にオプション取引が出題されています。
直近5年分の過去問しかやっていない人には忘れているかもしれません。
デリバティブ取引には大きくわけて2種類ありました。
①為替予約
この2つの違いはどこにあるのでしょうか?
為替予約は「キャンセル出来ない」事です。
①為替予約について
為替予約については平成21年の過去問を一度見ておくと良いと思います。
ダイジェスト的に解説すると
D社は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行った。
しかし、実際の売上が予想を下回り430万ドルであった。そして為替のスポットレートが102円です。この時の為替損はいくらでしょうか?
こんな問題でした。
1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行いました。
500万ドルは1ドル100円で売れる事が確約しました。
「100円×500万ドル=5億円の支払い」が確定します。
この時点で何があっても5億円を支払わなければならなくなりました。
為替が大暴落しようが、売上が500万ドルに達しなくてもです。
・為替予約のメリット
1ドル90円になった場合でも1ドル100円で売れます。
(これはオプション取引のメリットと同じです)
D社としては為替予約を行った点で将来の支払額が確定する
・為替予約のデメリット
キャンセルが出来ない事です。
この問題の場合は500万ドル売れると見込んでいたのに、430万ドルしか売れませんでした。70万ドル足りません。しかし、将来の支払額は既に確定していません。
70万ドルを市場から調達しなければなりません。それも本来1ドル100円にて為替予約をしているのに、100円より2円高い102円で市場から調達しなければなりません。
以上から70万ドル×2円=140万円の為替損失になります。
平成21年以来、実際の計算問題として出題されていません。
②オプション取引について
これはまずはプットとコールを間違わないようにして下さい。
輸出がプット、輸入がコールです。
パターンとしては
①円高、円安になった場合どうする?
②権利行使か権利放棄するか?
③為替差益と為替差損
④オプションプレミアム
その論点をまとめていればOKです。
平成26年、平成21年の過去問を見ていただければOKでしょう。
記述の仕方としては、「円高になった場合」「円安になった場合」両面から分かりやすく書く事です。
為替変動リスクを回避するには為替予約よりもオプション取引の方が適していると思います。権利放棄する事が出来ますし。
デメリットはオプションプレミアムという手数料が発生するくらいですかね。
為替リスクを避けるための必要経費だと思いますので、デメリットと言えるか分からないですが・・・。
まあ診断士試験的にはデメリットという事で考えて下さいね。
ちなみに平成21年事例Ⅳは売上変動リスクを下げるためにいろいろな手段を講じています。
固定費過多による売上のバラツキが大きい財務体質を改善させるために、固定費を売却します。売却費用で借入を返済して負債比率を下げます。負債比率を下げれば営業レバレッジが小さくなります。営業レバレッジが小さくなれば利益のバラツキが小さくなる。そして為替リスクを小さくするためにデリバティブ取引をします。
売上変動リスク対策を学べる事例ですので、一度解く事をお勧めします。
時間があればの話ですが・・・。
「もう少し早く言ってよ!!」と言われる皆様にはすいません。
お後は悪いですがまた明日へ続きます。
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